住宅に関することや、日々の雑感を綴ってゆきます。
支配人 杢谷 保夫
第3回
アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスに思う
今回はアメリカの国民的画家 アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスのお話です。
75歳で油絵を始め、緑の畑や牧場で楽しそうに働く農民や田園生活風景などのフォークアートを描き、101歳で没するまで1600点の作品を残しました。
自伝「モーゼスおばさんの絵の世界」未来社1991年
彼女の作品は 絵本やグリーティングカードなどで日本でもよく見かけますが、作家の名前は知りませんでした。先日の宝持会市民健康講座「アンチエイジングと運動」(講師 池田宣子医師)で75歳で初めて絵筆をとり、アメリカ人なら誰でも知っている国民的画家となった彼女をアンチエイジングの例として紹介され、そのセカンドライフに大変驚きました。
ファーストライフは?と言うと、貧しい農民の妻。27歳で結婚。
10人の子をもうけるが、うち5人は幼児期に夭折。70歳で夫を亡くす。働き詰めで、不幸な運命に翻弄される人生です。夫の死後息子夫婦の農場に身を寄せ、リウマチのリハビリにと始めた「絵を描くこと」に楽しみを見出しました。セカンドライフの始まりです。
グランマ・モーゼス(モーゼスおばあちゃん)の愛称で親しまれる国民的画家は後にこんな言葉を残しています。
「人生は自分で創り上げるもの」
この言葉から、「艱難辛苦」の姿を連想する方もおられるかもしれません。しかし、アメリカの農民の生活を描いた彼女の絵は、むしろ「楽しさ」「明るさ」を感じます。プリミティブアート、素朴派とも言われ、子供のような素直さと自然や人々への深い愛情が伝わってきます。
どこかほのぼのとした彼女の絵を見ていると、彼女の「人生は・・・」の言葉は、「目的に向かって血のにじむような努力を」と言っているのではなく、「自分に素直で、子供のように柔軟で、挑戦意欲と工夫があれば、自然に人生は創り上げられてゆく。」と言っているように聞こえます。